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事例紹介

薬効薬理研究でAIを活用、環境構築が不要のGPUクラウドで導入の手軽さを実感

senjyu
千寿製薬株式会社は、日本の製薬会社のひとつで、主に眼科領域に特化した製品を開発・製造・販売しています。1947年に大阪で設立され、以来、眼科医療の発展に貢献してきました。

製品ラインナップは、眼科・耳鼻科向けおよび動物用の医療用医薬品をメインに医療機器やサプリメントなど多岐にわたります。また、「マイティア」シリーズなどの一般用医薬品も手がけ、幅広いニーズに応えています。

研究開発においても、千寿製薬は常に最前線を走り続けています。2019年には、最新の科学技術を駆使して新たな治療薬の開発を目指す神戸イノベイティブセンターが開設されました。ここでは、未来の眼科医療を変える可能性を秘めた研究が日々行われています。

今回は神戸イノベイティブセンターに訪問し、研究開発本部 総合研究所の所長である礒脇さんと研究員の渥美さんに、GPUSOROBANを導入された経緯などについてお話を伺いました。

事例のポイント
・画像解析の時間と計算リソースの課題を解決
・薬効薬理研究でJOIRのAIモデルやAlphaFold2を導入
・クラウドインフラに知見がなくても簡単に導入が可能


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研究開発本部 総合研究所 
所長 礒脇 明治さん
研究所の統括責任者
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研究開発本部 総合研究所 薬理グループ
研究員 渥美 友哉さん
薬効薬理研究を担当

AI活用に計算リソースの課題

ーGPUSOROBANを導入する前はどのような課題がありましたか?
渥美さん 私たちのチームは、AIを利用した薬効薬理研究に取り組んでいます。その過程で計算リソース不足という大きな課題に直面しました。

技術の進歩に伴い、 創薬分野でもAIの利活用が進んでいます。これらのAIは大量のデータを処理するため大規模な計算リソースが必要になります。弊社では、これまでオンプレミスで計算リソースを確保してきましたが、このままではAIの進化に計算リソース確保が追い付かなくなることが予想されました。
この課題を解決するため、画像解析や機械学習などを高速処理できるGPUを導入することに決めました。

1時間50円から始められる手軽なクラウドサービス

ーGPUSOROBANを選んだ理由を教えて下さい
senjyu
礒脇さん 私たちの目的はAIを”研究する”ことではなく、あくまで創薬の分野でAIを”活用する”ことです。しかし、AIがどの程度研究に使えるのかも未知数の状況で、大規模な計算リソースを確保するための初期投資が大きな障壁となります。また、社内に導入した場合も将来的な維持が難しいと考え、クラウドサービスを選択しました。

渥美さん 複数のGPUクラウドサービスを検討した結果、GPUSOROBANが最もコストパフォーマンスに優れていることがわかりました。従量課金制で、1時間あたり50円から始められる手軽さが非常に魅力的です。また、当社の事業特性上、秘密保持やセキュリティも重視しています。そのため、GPUSOROBANを選ぶにあたり、各社の利用規約やセキュリティ対策についても比較検討しました。

JOIRのAIモデルやAlphaFold2を活用

ーGPUSOROBANの活用方法を教えて下さい
senjyu
渥美さん 薬効薬理の基礎研究において、AIを用いたデータの解析や予測のためにGPUSOROBANの高速コンピューティングを利用しています。

薬効薬理研究は、病気のターゲットとなる分子の探索から始まり、候補薬剤のスクリーニング、細胞や実験動物を用いた病態モデルの作成、薬効評価等からなります。これらの創薬プロセスにAIを使うことで大幅な時間短縮とコストの削減が見込めるだけでなく、従来の技術では対応できなかった研究テーマにチャレンジすることや、高精度に研究データを分析することが可能になります。

AI活用の例として挙げられるのが、「JOIRの眼底年齢評価モデル」と「AlphaFold2」です。一般社団法人Japan Ocular Imaging Registry(JOIR)が公開する眼底年齢評価モデルは、健康診断施設から収集されたデータに基づき、眼底画像で個人の年齢を推定するものです。一方、DeepMind社によるAlphaFold2は、タンパク質の構造を予測するAIモデルで、薬効薬理研究において画期的な成果をもたらすことが期待されています。

画像解析にかかる時間が1日から13秒に

ーGPUSOROBAN導入後の変化を教えて下さい
senjyu
礒脇さん 最もリーズナブルなプランでも、計算時間を大幅に短縮することができ満足しています。例えばJOIRのモデルでは、以前は3,000枚の画像を処理するのにCPUで1日かかっていました。それが、GPUSOROBANを導入した結果、処理時間がわずか13秒に短縮されました。データ転送時間を含めても速さを実感しています。

渥美さん GPUSOROBANはインスタンスに機械学習用ソフトウェアがプリインストールされているので、クラウドインフラに知見がない私たちでも簡単に導入することができました。元からインストールされているのは非常に便利で、これがあるからこそスムーズに研究を進めることができます。料金だけでなくセットアップも含め、手軽に開始することができました。

AIによる点眼剤レシピの生成など新たな可能性に挑む

ー最後に、今後の目標や目指すものがありましたら教えて下さい
礒脇さん 製薬業界において、AIの活用はもはや新しいトレンドではなく、必須の要素となりつつあります。近年の流れを見ても、AIが業界に与える影響はますます大きくなっていくでしょう。実際に多くのオープンソースが公開され、研究プロセスが効率化されることで新薬開発が加速しています。

私たちはこれからも、薬効薬理研究で積極的にAIを活用していきます。今後は薬効薬理研究だけでなく、毒性、薬物動態、製剤設計等、様々な研究にAIを活用していく予定です。例えば、点眼剤のレシピをAIで生成するなど、新たな取り組みにもチャレンジしたいと考えています。私たちの研究が、未来の眼科医療に貢献する新薬開発につながるよう、挑み続けてまいります。

会社概要

senjyu
 会社名  千寿製薬株式会社
 所在地 ▼本社
大阪府大阪市中央区瓦町三丁目1番9号
▼神戸イノベイティブセンター
兵庫県神戸市中央区港島南町六丁目4番3
 設立  1947年4月
 資本金  14億1,550万円
 従業員数  943名(2023年3月31日現在)
 事業内容 (1)製薬事業 眼科・耳鼻科用医薬品及びコンタクトレンズ用剤及び動物用医薬品の製造、販売
(2)医療機器事業 医療機器の販売、貸与
(3)その他事業 化粧品原料の製造、販売
 URL  https://www.senju.co.jp/
※掲載している情報は、取材を実施した2024年2月当時のものです。
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