GPUメモリとは?用途別の必要目安・不足時の対策や増設方法まで徹底解説

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「ゲームをしていると動作がカクつく」「動画編集で思うように処理が進まない」と悩む方も多いでしょう。原因の一つとして考えられるのが、GPUメモリ(VRAM)の不足です。

GPUメモリは、映像や画像処理のデータを一時的に保存し、高速に読み書きするための専用領域であり、ゲームや映像制作、AI・機械学習といった分野では処理の快適さを左右する重要な役割を担っています。

しかし、自分の用途にどれだけの容量が必要なのか、また不足した場合にどう対策すべきかを理解していないと、思わぬ性能低下に悩まされるでしょう。そこで本記事では、GPUメモリの基本的な仕組みから用途別の必要容量、不足時の改善方法や増設の手段までをわかりやすく解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.GPUメモリ(VRAM)とは?
    1. 1.1.GPUメモリの役割
    2. 1.2.専用GPUメモリと共有GPUメモリの違い
  2. 2.GPUメモリ容量の違いは性能にどう影響する?
  3. 3.用途別|必要なGPUメモリ容量の必要目安
    1. 3.1.PCゲームの場合
    2. 3.2.動画編集・クリエイティブ用途
    3. 3.3.AI・機械学習
    4. 3.4.一般用途
  4. 4.GPUメモリの確認・テスト方法
  5. 5.GPUメモリ不足時の対策と改善方法
    1. 5.1.① ゲームやアプリ側で高負荷要因を設定から外す
    2. 5.2.②共有GPUメモリを活用して一時的にメモリを補う
    3. 5.3.③GPUメモリを解放して無駄な消費を抑える
  6. 6.GPUメモリ容量の選び方
    1. 6.1.①「解像度」と「用途」を基準に逆算する
    2. 6.2.②2〜3年後の用途で見積もる
    3. 6.3.③メモリ容量だけでなく「帯域幅・世代」を確認する
  7. 7.GPUメモリを個人で増設する3つの方法
    1. 7.1.グラフィックスカードを交換する
    2. 7.2.外付けGPUを利用する
    3. 7.3.統合GPUのメモリ割り当てを変更する
  8. 8.GPUメモリ容量を確認&選びたい方は「HIGHRESO」

GPUメモリ(VRAM)とは?

パソコンやゲーム機で映し出されている映像は、CPUとGPUが協力して処理しています。その際に映像の元となるデータを保存し、高速に読み書きするために利用されるのがGPUメモリ(VRAM)です。

このGPUメモリはシステムRAMとは独立して搭載されており、GPUから直接アクセスできるため、高解像度映像や3Dゲーム、複雑な動画編集のような負荷の高い処理をスムーズに行うことができます。

一方で、一般的なメインメモリはOSや各種プログラムの作業領域として利用されます。これに対してVRAMは画像処理専用のメモリであり、WindowsやmacOS上では「ビデオメモリ」「グラフィックスメモリ」と表示される場合が多いです。

GPUメモリの役割

GPUメモリの主な役割は次の3つにまとめられます。

  • データのバッファとして機能する
  • テクスチャや影などの視覚情報を保持する
  • 高解像度や高設定時の負荷を軽減する

GPUメモリは、GPUが効率よくグラフィックス処理を行うために欠かせない存在であり、データの一時保管庫として機能することで処理速度を維持します。また、複雑なテクスチャや影の情報を保持することでリアルな描写を可能にし、高解像度や高品質設定時に必要となる膨大なデータを支えることでフレームレートの低下やカクつきを防ぐ役割を担っています。

専用GPUメモリと共有GPUメモリの違い

GPUメモリには大きく分けて「専用GPUメモリ」と「共有GPUメモリ」の2種類があります。それぞれの特徴を以下の表に整理しました。

項目

専用GPUメモリ(Dedicated VRAM)

共有GPUメモリ(Shared GPU Memory)

搭載場所

グラフィックカード上の物理的なVRAM

システムRAMの一部をGPU用に割り当て

主な規格

GDDR6 / HBMなどの高速メモリ

システムRAM(DDR4/DDR5など)

アクセス速度

高速(GPUから直接アクセス可能)

遅い(PCIe経由でアクセスするため遅延あり)

容量の確保

GPU専用に固定容量が確保される

システムRAMの一部を利用(最大で物理RAMの半分を確保する場合もある)

主な利用環境

ディスクリートGPU(独立型GPU)

統合型GPU(iGPU)で利用されることが多い

メリット

高速・安定した処理性能

専用VRAMが少ない環境でも一時的に補える

デメリット

容量拡張はGPU交換が必要

処理速度が遅く、性能低下の要因になる

専用GPUメモリはグラフィックカードに物理的に搭載されており、GPUが直接アクセスできるため高速で安定した処理を実現します。

一方、共有GPUメモリはシステムRAMを仮想的に割り当てて利用する方式で、専用VRAMが不足した場合に役立ちます。ただし、メモリの転送経路にCPUやPCIeバスが関わるため、専用メモリに比べると処理速度が遅く、性能が落ちやすい点が課題です。

GPUメモリ容量の違いは性能にどう影響する?

GPUメモリ(VRAM)容量が足りない分をシステムRAMやストレージに一時的に逃がす必要が生じます。ところが、これらは専用VRAMと比べてアクセス速度が遅いため、読み書きに時間がかかり、フレームレートの低下や入力遅延を引き起こします。

以下の表は分野・場面別にGPUメモリ容量の違いによる影響をまとめたものです。

分野・場面

VRAM不足で起こること

推奨VRAM容量

ゲーム

システムRAMやストレージにデータを逃がすため処理が遅れ、フレームレート低下・入力遅延が発生。画質やテクスチャを落とさざるを得ないケースも。

高解像度・レイトレーシング時は十分な容量必須

最新ゲーム

8GBモデルでは容量不足が顕著。描画データの読み込みが遅くなり、カクつきや処理落ちが起こる。

12GBが最低ライン、16GBが理想的

動画編集

高解像度・複雑なエフェクトでVRAM消費が増加。容量不足だとレンダリングなどの処理が重くなる。

8〜16GB

AI・機械学習

モデル規模に応じてVRAM要求が大幅に増加。小規模LLMでも不足しやすい。

小規模モデル:12〜24GB、大規模モデル:80GB〜

このように、ゲーム・動画編集・AIのいずれの分野でも「VRAM不足=処理遅延や品質低下」につながるため、用途に応じて必要容量を確保することが重要です。

用途別|必要なGPUメモリ容量の必要目安

用途

想定解像度・作業

推奨VRAM容量

一般用途

ブラウジング、Office、動画視聴

2〜4GB

PCゲーム(エントリー)

1080p中設定

4〜8GB

PCゲーム(ミドル)

1440p高設定、レイトレーシングなし

8〜12GB

PCゲーム(ハイエンド)

4Kやレイトレーシング、長期間の将来性

16GB以上

動画編集

FHD〜4K編集、エフェクト少

8GB以上

動画編集・設計(プロ用途)

4K以上、カラーグレーディング・3D合成(CAD・BIM)

16GB以上

AI・機械学習(小〜中規模)

ファインチューニング、画像生成

12〜24GB

AI・機械学習(大規模)

7B〜70BパラメータのLLMなど

24〜80GB以上

PCゲームの場合

PCゲームでは、解像度やテクスチャ設定によって必要となるVRAM容量が変わります。目安では「1080pなら4GB程度で十分だが、1440pでは6〜8GB、4Kでは8〜12GBが必要」となります。

ただし、近年のタイトルでは8GBでは不足することが多く、レイトレーシングを有効化したり4Kの高設定でプレイする場合は、20GB以上のVRAMを搭載したハイエンドGPUを選ぶのが推奨されています。

動画編集・クリエイティブ用途

映像編集においても解像度やカラー深度によってVRAM消費は増加します。DaVinci Resolveのようなプロ向けソフトを利用する場合は「最低8GB、推奨は8〜16GB」が必要であり、4Kや複数レイヤーを扱う場合にはさらに多い容量があると安心です。

シンプルなカット編集や1080p動画であれば6GB程度でも対応できますが、カラーグレーディングや3Dエフェクトを多用する作業を行う際には16GB以上のVRAMを備えている方が望ましいとされています。

AI・機械学習

AIや機械学習分野では、モデルの規模やバッチサイズによって求められるVRAMが異なります。小規模から中規模の大規模言語モデル(LLM)のファインチューニングには12〜24GBのVRAMが推奨され、数十億パラメータ規模のモデルでは1枚あたり80GBものVRAMが必要になるでしょう。

画像生成やディープラーニングの用途であれば16〜32GBのVRAMがあれば、一定の処理に対応できますが、最新の大規模モデルを扱う場合には48GB以上を搭載したハイエンドGPUや複数GPUの構成が必須です。

一般用途

ウェブ閲覧やOfficeソフトの利用といった日常的な用途では、専用GPUを必要とするケースは多くありません。内蔵GPUやエントリークラスのGPUに搭載された2〜4GB程度のVRAMで十分に対応できます。

高解像度ディスプレイの利用や軽微な画像編集を想定するなら、VRAMは4GB以上を推奨します。ただし、推奨スペックを超えるゲームをプレイしたり、短時間でも大量のメモリを要する処理を行わない限り、VRAM不足で困るケースはほとんどありません。

GPUメモリの確認・テスト方法

自分のPCにどの程度のVRAMが搭載されているのかを把握することで、ゲームの設定や作業内容の目安を立てることができます。

Windows 10/11でVRAMの内容を確認する手順は次の通りです。

  1. スタートメニューを右クリックして「設定」を開き、「システム」→「ディスプレイ」と進みます

  2. 下部にある「ディスプレイの詳細設定」を選択し、「ディスプレイアダプターのプロパティ」をクリックします

  3. 表示されたウィンドウの「アダプター」タブで確認できるDedicated Video Memory(専用ビデオメモリ)の値が、搭載されているVRAM容量となります

また、VRAMの使用状況をリアルタイムで確認したい場合は、タスクマネージャーを利用できます。

以下の手順で確認します。

ステップ

デスクトップ画面の下部にあるタスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を開きます。

ステップ❷

タスクマネージャーを開くと、現在起動しているアプリが確認できます。

ステップ❸

「詳細」を開いてパフォーマンスタブを選択すると各アプリケーションがどの程度のVRAMを利用しているかをリアルタイムで確認できます。

GPUの負荷テストを行う場合は、3D MarkやUnigine Heavenといったベンチマークソフトが広く利用されています。

ただし、初めて試す方はゲーム内に用意されているベンチマーク機能を使う方が簡単で扱いやすいです。

GPUメモリ不足時の対策と改善方法

GPUメモリ不足時にはそのままにしておかず、以下の対策を実施しましょう。

  • ゲームやアプリ側で高負荷要因を設定から外す
  • 共有GPUメモリを活用して一時的にメモリを補う
  • GPUメモリを解放して無駄な消費を抑える

① ゲームやアプリ側で高負荷要因を設定から外す

VRAMが不足すると、画質の低下や動作のカクつきが発生します。そのような場合には、解像度やテクスチャ品質、影の描画、レイトレーシングといった設定を下げることが効果的です。

また、DLSSやFSRなどのアップスケーリング機能を活用すれば、解像度を下げても画質を維持しながらVRAMへの負担を軽減できます。

②共有GPUメモリを活用して一時的にメモリを補う

専用VRAMが不足した場合、OSはシステムRAMを仮想GPUメモリとして割り当てます。共有GPUメモリは「システムRAMを借りる仮想的なメモリ」であり、最大で物理RAMの半分程度が利用されることがあります。

ただし、速度が遅いため性能向上は限定的であり、手動で調整することは推奨されていません。統合GPUやエントリーGPUを利用している場合、BIOS設定やWindowsのレジストリから割り当てを増やすことも可能ですが、システムRAMを圧迫するとOS全体の動作が重くなるため注意が必要です。

③GPUメモリを解放して無駄な消費を抑える

バックグラウンドで起動しているアプリケーションやブラウザのタブが、VRAMを消費していることは少なくありません。その際は、不要なスタートアッププログラムを無効化することがVRAMの確保に有効であり、解像度やリフレッシュレートを下げることでも使用量を減らせます。

また、定期的にPCを再起動してVRAMをリフレッシュしたり、GPUドライバーを最新に更新することで、メモリリークやキャッシュの肥大化を防げるでしょう。ゲーム中にVRAM不足が起きた場合は、一時的にウィンドウモードへ切り替え、不要なアプリケーションを終了するだけでも改善効果があります。

GPUメモリ容量の選び方

GPUメモリを選ぶ際は以下の3つの選び方を重視しましょう。

  • 「解像度」と「用途」を基準に逆算する
  • 2〜3年後の用途で見積もる
  • メモリ容量だけでなく「帯域幅・世代」を確認する

①「解像度」と「用途」を基準に逆算する

VRAM容量を選ぶ際は、まず自分が利用する解像度と用途を明確にすることが大切です。1080pのカジュアルゲームや簡単な編集作業であれば4〜8GBで十分ですが、1440p環境やレイトレーシングを使用するゲームでは12GB以上を推奨します。

さらに4Kや今後のタイトルを快適に楽しみたい場合は、16GB以上を備えたハイエンドGPUを選ぶと安心です。用途別に必要容量を逆算し、余裕を持った選択をすることが重要です。

②2〜3年後の用途で見積もる

GPUの買い替えサイクルは、平均3〜5年程度といわれています。現時点では不要に見えても、今後登場するゲームやソフトウェアがVRAMをより多く消費する可能性があります。

将来のソフトウェアは8GBを前提に設計されることが少ないため、2〜3年後の使用状況を想定し、余裕を持った容量を選ぶことが望ましいです。

③メモリ容量だけでなく「帯域幅・世代」を確認する

VRAMの性能は容量だけでなく、帯域幅やメモリの世代によっても大きく変わります。例えば、GDDR6はGDDR5よりも高速であり、同じ容量でも帯域幅が広いほど多くのデータを素早く処理できます。

また、メモリバス幅やキャッシュ構成も影響し、同じ8GBでもGDDR6Xを採用した上位モデルの方が高負荷時に優れたパフォーマンスを発揮。購入時は容量だけに注目するのではなく、メモリ規格やバス幅、キャッシュ構成も確認することが大切です。

GPUの選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

GPUメモリを個人で増設する3つの方法

最後はGPUメモリを増設する方法を3つ紹介します。個人でもできる方法なので参考にしてみてください。

  • グラフィックスカードを交換する
  • 外付けGPUを利用する
  • 統合GPUのメモリ割り当てを変更する

POINT

01

グラフィックスカードを交換する

専用VRAMはグラフィックスカードに直接搭載されており、後から増設することは基本的にできません。

より多くのVRAMが必要な場合は、新しいGPUへアップグレードすることが唯一の解決策です。

POINT

02

外付けGPUを利用する

ノートPCのようにGPUを交換できない環境では、Thunderbolt 3/4などに対応した外付けGPUボックスを利用する方法があります。これにより、デスクトップ用のグラフィックスカードを外部接続して、大容量かつ高速なVRAMを利用することが可能です。

ただし、eGPUは高価であり、対応するノートPCも限られているため導入のハードルは高いです。

POINT

03

統合GPUのメモリ割り当てを変更する

統合GPUの場合は、BIOS設定やOSのレジストリを変更してシステムRAMから割り当てる共有GPUメモリを増やす方法もあります。しかし、効果は限定的です。OSは自動的に物理RAMの最大50%を共有メモリに割り当てられるため、手動での調整は推奨されません。

むしろシステムRAMが圧迫され、OS全体のパフォーマンス低下につながる可能性があります。

GPUメモリ容量を確認&選びたい方は「HIGHRESO」

GPUメモリ(VRAM)は、ゲームや映像編集、AIといった分野で快適な動作を実現するための要となる要素であり、容量が不足すると画質低下や処理遅延を招きます。そのため、自分の利用環境や解像度、数年先の用途まで見据えて余裕を持った容量を選ぶことが重要です。

また、専用GPUメモリと共有GPUメモリの仕組みや性能差を理解し、必要に応じて設定の見直しやGPUの交換といった対策を行うことで、処理能力を最大限に活かし、長期的に安定したパフォーマンスを確保することができます。

「自社に適したGPUメモリがわからない」「GPUメモリについて相談したい」という方は「HIGHRESO」を利用してみてはいかがでしょうか。

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HIGHRESO|テックブログ編集部
HIGHRESO|テックブログ編集部
HIGHRESO GPUのテックブログは、最新のGPUコンピューティング技術やクラウドインフラストラクチャに関する情報を発信しています。 本ブログは、GPUクラウドやAI技術に精通した専門家が、活用方法や最新技術、パフォーマンス最適化など実践的な情報をわかりやすく発信します。業界トレンドや事例も紹介し、読者がGPUクラウドを効果的に活用できるようサポートします。

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