GPUの適正な温度とは?確認方法と温度を下げる方法を徹底解説

GPUはPCの性能を左右する重要なパーツですが、そのパフォーマンスは温度に大きく影響されます。 高負荷な処理を行うとGPUの温度は上昇し、一定の温度を超えると性能低下や故障のリスクが高まります。 そのため、GPUの適正温度を理解し、現在のGPU温度を適切に管理することが、PCを快適に長く使用する上で欠かせません。
この記事では、GPUの適正温度の目安から、具体的な温度の確認方法、そして温度を下げるための効果的な対処法までを解説します。
高負荷時の温度管理は、GPUの寿命と安定性を大きく左右します。
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GPUの適正温度とは?

GPUの適正温度は、PCの使用状況によって変動します。 一般的な目安として、ウェブサイトの閲覧や動画視聴など、負荷が低いアイドル状態では30℃から50℃程度が正常な範囲とされます。
一方で、3Dゲームのプレイや高画質な動画の編集といった高負荷な作業中は、60℃から85℃程度まで上昇することがあります。 この数値はあくまで目安であり、GPUのモデルやPCの冷却性能、室温によって変わります。 90℃を超える高温状態が続くと、性能低下やパーツの寿命を縮める可能性があるため、注意が必要です。
メーカー別GPUの適正温度一覧表
一般的なGPUの適正温度については、以下の表から目安を参考にしてみて下さい。
また、メーカーの傾向も各社で特徴があるので、把握しておきましょう。
| 状況 | 温度範囲 | 
| アイドル時(待機状態) | 30~50℃ | 
| 通常使用時 | 50~70℃ | 
| 高負荷時(ゲーム・レンダリング) | 70~85℃ | 
| 危険域 | 90℃以上 | 
注:記載されている最高温度は入手可能なデータに基づいており、特定のモデルや冷却ソリューションによって異なる場合があります。消費電力の値は概算であり、システム構成やワークロードによって異なる場合があります。
主要メーカー別の一般的な傾向
NVIDIA
- GeForce RTXシリーズ: 最大温度は83~87℃程度に設定
- GeForce GTXシリーズ: 最大温度は83~84℃程度に設定
- 温度が上限に近づくと自動的にクロックを下げて保護(出典: developer.nvidia.com)
AMD
- Radeon RXシリーズ: 最大温度は90~110℃程度 ※修正バッチを確認
- ジャンクション温度は通常の温度より高めに設定以前に、ユーザー間で最大温度110℃にて不具合が発生して公式サポートも問題を認識していると公表しています。AMDの最新製品は、必ず仕様情報を確認しましょう。
Intel Arc
(出典: community.intel.com)
注意するポイント
- 具体的な適正温度は各GPUモデルの仕様書で確認しましょう
- 冷却システムの性能により実際の動作温度は変動します
GPUの温度が上がる4つの主な要因

GPUの温度が異常に高くなる背景には、いくつかの共通した原因が存在します。
最も一般的なのは、高性能を要求されるゲームやクリエイティブな作業による高負荷状態の持続です。
それに加え、PCケース内の空気の流れ(エアフロー)の悪化や、冷却を担うGPUファンの不調、さらには設置場所の室温といった外部環境も大きく影響します。
以下の4つの要因が一つでも当てはまれば、積極的に冷却対策を講じましょう。
- 高負荷な処理を長時間実行している 
- PCケース内の空気の流れが悪い 
- GPUファンの回転数が不足・故障している 
- 室温が高い・設置環境が悪い 
| Case | 01 | 
高負荷な処理を長時間実行している
最新の高品質なゲームのプレイや4K動画のレンダリングなどの高負荷な処理を長時間継続すると、GPUチップの温度は必然的に上昇します。
特に、高性能なGPUほど発熱量も大きくなる傾向にあり、適切な冷却が行われなければ、熱による性能抑制機能であるサーマルスロットリングが作動し、パフォーマンスが低下する原因となります。
| Case | 02 | 
PCケース内の空気の流れが悪い
PCケース内部のケースファンが効率的に吸気と排気を行えていない場合、GPUなどが発した熱がケース内に滞留し、冷却効果が著しく低下します。
内部のケーブル類が乱雑に配置されて空気の通り道を塞いでいたり、PC本体を壁際や棚の中にぴったりと設置して吸排気口を塞いでいたりすると、熱がこもりやすくなります。
新鮮な冷たい空気を外部から取り込み、内部で発生した熱い空気をスムーズに外部へ排出する経路の確保が、PC全体の冷却性能を維持する基本となります。
| Case | 03 | 
GPUファンの回転数が不足・故障している
GPUに直接取り付けられている冷却ファンは、ヒートシンクに溜まった熱を強制的に空気中に放出する役割を担う、冷却システムの中心的な部品です。
このファンの回転数が、GPUの温度上昇に対して適切に制御されていない場合、十分な冷却能力を発揮できません。
静音性を優先して手動で回転数を低く設定していたり、制御用のソフトウェアに不具合が生じていたりすると、高負荷時でもファンが必要な速度で回転しないことがあります。
また、長期間の使用による経年劣化や、ファンの軸受け部分へのホコリの蓄積が原因で、ファン自体が故障し、異音を発生させたり、正常に回転しなくなっていることがあります。
| Case | 04 | 
室温が高い・設置環境が悪い
PCが設置されている部屋の環境も、GPUの温度に直接的な影響を与えます。
特に夏場など室温が高い状況では、冷却のためにPC内部へ取り込む空気自体の温度が高いため、冷却効率が低下してしまいます。
PCをデスク下の狭いスペースや本棚の中など、空気が循環しにくい場所に置くと、排熱がうまくいかず熱がこもる原因になります。
画像付き|GPUの温度を確認する方法

自身のPCに搭載されているGPUが、現在どのくらいの温度で動作しているかを把握することは、適切な熱管理を行う上での第一歩です。
特別なツールを導入しなくても、WindowsやMacには標準機能としてGPUの温度を表示する機能が備わっています。
より詳細なデータ、例えばGPUの使用率やファンの回転数などをリアルタイムで監視したい場合は、専用のフリーソフトを利用すると便利です。
ここでは、OSごとの標準的な確認手順を解説します。
Windowsでの確認方法
ここではWindowsでのGPUの温度を確認する方法を解説します。
タスクバーにあるスタートボタンを右クリックします。
| ステップ1 | スタートメニューから「タスクマネージャー」を選択します。 
 | 
| ステップ2 | 左側のメニューバーから「パフォーマンス」アイコンを選択します。 GPUの項目に稼働率と温度が表示されているのを確認します。  | 
Macbookでの確認方法
ここからは、MacOS(Macbook)でのGPUの温度を確認する方法を解説します。
macOS標準機能では直接GPU温度は表示されないため、基本的にはサードパーティのツールを使います。
- iStat Menus(有料)- メニューバーにCPU/GPU/メモリ/ネットワークなどを常時表示。Appleシリコン(M1/M2/M3)でもGPU関連センサーを取得することができます。
- 手順:公式サイトからインストール→メニューバーからGPU温度やGPUダイ温度を確認。
 
- TG Pro(有料・体験版あり)- 各種温度(CPU/GPU/バッテリー)表示とファンをコントロールする機能があります。
- 手順:インストール → SensorsタブでGPU関連の温度を確認できます。
 
- Macs Fan Control(無料)- 主目的はファン制御ですが、多くの温度センサーの読み取りができます。
- 手順:インストール→左ペインに温度センサー一覧→GPU関連項目を確認します。
 
GPUの温度を下げる方法

GPUの温度が高い状態が続く場合、いくつかの対策を講じることで効果的に冷却できます。
その中でも最も有効な5つの方法を解説します。
- エアフローを見直す 
- GPUやケース内部の掃除をする 
- GPUファンの回転数を調整する 
- GPU使用率を抑える 
- 室温・設置環境を改善する 
| POINT | 01 | 
エアフローを見直す
PCケース内部のエアフロー、つまり空気の流れを改善することは、冷却性能を向上させる最も基本的な対策です。
理想的な空気の流れは、ケースの前面ファンから冷たい外気を取り込み(吸気)、GPUやCPUで熱せられた空気を背面や天面のファンから排出する(排気)という一方向の経路を確立することです。
ケースファンがこの流れに沿って正しく設置されているかを確認します。
| POINT | 02 | 
GPUやケース内部の掃除をする
定期的な清掃は、GPUの冷却性能を維持するために不可欠です。
清掃作業を行う際は、必ずPCの電源を完全に落とし、電源ケーブルをコンセントから抜いてから開始してください。
エアダスターを使い、GPUの冷却ファンやヒートシンク、ケースファン、吸排気口のフィルターに付着したホコリを吹き飛ばすのが効果的です。
ノートパソコンの場合は、通気口からエアダスターでホコリを吹き出すだけでも一定の効果が見込めますが、内部にホコリを押し込んでしまわないよう注意深く作業する必要があります。
| POINT | 03 | 
GPUファンの回転数を調整する
GPUの冷却ファンは、通常、温度に応じて回転数が自動で制御されていますが、この設定を任意で変更することで冷却能力を高めることが可能です。
「MSIAfterburner」のような専用のユーティリティソフトを使用すれば、ファンの回転数を手動で固定したり、温度と回転数の関係をグラフで細かく設定する「ファンカーブ」をカスタマイズしたりできます。
例えば、ゲームプレイ中などGPU温度が上昇しやすい場面で、より低い温度からファンの回転数を上げるように設定すれば、高温状態になるのを未然に防げます。
| POINT | 04 | 
GPU使用率を抑える
GPUの発熱は、その処理負荷、つまり使用率に比例して増減します。
そのため、GPUへの負荷を意図的に下げることも有効な温度対策の一つとなります。
ゲームをプレイする際には、解像度を一段階下げたり、秒間フレームレートに上限を設定したり、影やアンチエイリアシングといったグラフィック設定の品質を調整したりすることで、GPU使用率を抑えることが可能です。
| POINT | 05 | 
室温・設置環境を改善する
PC本体への対策と並行して、PCが置かれている部屋の環境を改善することも冷却には重要です。
最も直接的で効果的な方法は、エアコンを使用して室温自体を下げることです。
PCが冷却のために取り込む空気の温度が下がれば、それだけ冷却効率は向上します。
部屋の空気が滞留している場合は、サーキュレーターや扇風機を使って空気の流れを作り、PC周辺に熱がこもらないようにするのも有効です。
GPUは適正温度を常に保とう
GPUの性能を最大限に活用し、長期間にわたって安定した動作を維持するためには、その動作温度を適正な範囲内に保つことが不可欠です。
GPU温度が90℃を超えるような状態が継続すると、サーマルスロットリングによる性能低下を招くだけでなく、GPUチップや周辺の電子部品の劣化を早め、最終的に故障に至るリスクを高めます。
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