NVIDIA DGX B300とは?前世代の比較と5つの特徴を徹底解説

「NVIDIAが発売したB300とは?」「前世代と何が違う?」と思う方も多いでしょう。生成AIの普及により、企業にとってGPUサーバーは単なる計算装置ではなく、AI開発から運用までを支えるAIファクトリー基盤として重要性を増しています。
そうした中で登場したNVIDIA DGX B300は、Blackwell Ultra GPUを搭載し、LLMの学習だけでなく推論処理まで高速化できる統合型AIインフラとして設計された次世代DGXシステムです。
本記事では、
- NVIDIA DGX B300とは?
- 5つの特徴
- 前世代のスペック比較
など、わかりやすく解説します。
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NVIDIA DGX B300とは?

出典:NVIDIA
NVIDIA DGX B300は、NVIDIAの最新GPUアーキテクチャであるBlackwell Ultraを8基搭載した、生成AI向けの高性能サーバーです。FP8精度での学習性能は約72PFLOPS、FP4精度の推論性能は約144PFLOPSと高く、GPUメモリも合計で2.3TBクラスを備えています。
前世代のDGX B200と比べて学習性能は最大約4倍、リアルタイム推論は最大約11倍まで向上し、性能と電力効率の両面で進化したAIファクトリー向けの統合AI基盤として位置付けられています。
仕様・スペック
NVIDIA DGX B300は、NVIDIA Blackwell Ultra GPUを8基搭載し、FP4推論で144ペタフロップス、FP8/FP6学習で72ペタフロップスという驚異的なAI性能を実現します。以下は主なスペック表です。
機能 | スペック |
GPU | 8x NVIDIA Blackwell Ultra SXM |
CPU | Intel® Xeon® 6776P プロセッサ |
合計GPUメモリ | 2.1 TB |
パフォーマンス | FP4 Tensor コア: 144 PFLOPS | 108 PFLOPS FP8 Tensor コア: 72 PFLOPS |
NVIDIA NVLink™ Switch システム | 2倍 |
NVIDIA NVLink 帯域幅 | 14.4 TB/秒の総帯域幅 |
ストレージ | ・OS:2x 1.9 TB NVMe M.2 ・内部ストレージ:8x 3.84 TB NVMe E1.S |
消費電力 | 〜14 kW |
ソフトウェア | ・NVIDIA AI Enterprise - 最適化された AI ソフトウェア |
出典:NVIDIA
FP8精度での学習性能は約72PFLOPS、FP4精度の推論性能は約144PFLOPSと高く、GPUメモリも合計で2.3TBクラスを備えています。これにより、数千億パラメータ規模の大規模言語モデル(LLM)であっても、複数台に分けず1台のノードで高速に学習・推論処理を行える設計になっています。
さらに、GPU同士は第5世代NVLinkとNVSwitchで接続されており、数十TB/s級の帯域を確保しているため、分散学習時に発生しやすい通信の遅延を抑えられる点も特徴です。
B300の価格・発売日
NVIDIA DGX B300の公式販売価格は公開されておらず、カスタマイズ構成や販売パートナー、サポート契約により変動します。類似のDGX B200は約515,000ドル(約8,100万円)からで、B300も同等またはやや高い60万ドル前後と推定されます。
また、公式な発売日は未発表ですが、2025年後半から出荷開始と公表されています。
その他、NVIDIAの特徴については以下の記事で詳しく解説しますので、あわせてご覧ください。
NVIDIA DGX B300の5つの特徴

出典:NVIDIA
NVIDIA DGX B300は、単に計算性能が高いだけでなく、AI開発の全工程を効率化し、安定した運用を可能にするための特徴を備えています。ここでは、AI処理効率の向上から大規模なクラスタ構成の容易さまで、DGX B300が持つ5つの主要な特徴を解説します。
- AI処理効率の大幅向上
- AIの「学習」と「推論」の両工程で性能を最大化
- 長時間の連続稼働が可能
- 大規模クラスタ構成が容易に
- 大容量メモリを搭載
B300の特徴 | 01 |
AI処理効率の大幅向上
DGX B300は、最新のBlackwell Ultra GPUを搭載したことで、前のDGX B200よりも同じスペースで処理できるAI計算量が大きく増えています。特に推論で使われるFP4性能は約1.5倍、モデル内部の計算に重要なアテンション処理は約2倍に向上しており、同じラックサイズでもより多くのAI処理を回せる設計です。
その結果、大規模言語モデルの推論やエージェント型AIのような重い処理でも、必要なサーバー台数を減らしやすくなり、設備費や電力コストを含めた全体コスト削減にもつながります。
さらに1台で144PFLOPS級の推論性能と72PFLOPS級の学習性能を持つため、従来より短時間でジョブを終えられる高性能AI基盤として位置付けられています。
B300の特徴 | 02 |
AIの「学習」と「推論」の両工程で性能を最大化
DGX B300は、AIモデルを作る段階(学習)と実際に使う段階(推論)の両方を1つの仕組みで高速化できる設計になっています。FP8で72PFLOPS、FP4で144PFLOPSという高い計算能力を持つため、学習では大規模モデルを効率よく分散処理でき、推論では同じ機材を高密度の推論サーバーとして活用可能。
これにより、学習用と推論用で別々に設備を用意する必要が減り、リソースの無駄が出にくくなります。また、NVIDIAの公式ソフトウェア群が最初から使えるため、モデル開発から本番運用までを同じ環境で回せる点も、両工程の効率を高める要素になっています。
B300の特徴 | 03 |
長時間の連続稼働が可能
DGX B300は、データセンターで止めずに使い続けることを前提に、電力効率と冷却設計が重視されています。ACとDCの両方の電源に対応しており、既存設備に合わせて安定した給電構成を取りやすいため、長時間稼働でも電源まわりのトラブルが起きにくい仕組みです。
さらに、新しいデータセンター規格に合わせてシャーシも再設計され、MGXラックにも対応しているため設置の自由度も高くなっています。加えて3年間の標準サポートが付くことで、止められないAI運用でも長期的に安心して使える信頼性が確保されています。
B300の特徴 | 04 |
大規模クラスタ構成が容易に
DGX B300は、既存のデータセンターラックにも新しいMGXラックにも対応しているため、導入後に台数を増やしていくスケールアウトがしやすい設計です。各ノードには最大800Gbps級の高速ネットワーク接続が備わっており、複数台をつないで大規模AIクラスターを構築する場合でも通信の遅れが起きにくくなっています。
また、NVIDIAの管理ソフトにより、オンプレミス環境・コロケーション・クラウドをまたいだクラスタ全体をまとめて運用できるため、大規模AI基盤を段階的に拡張しやすい点も特徴です。
B300の特徴 | 05 |
大容量メモリを搭載
DGX B300は、合計2TB超のGPUメモリを1台に搭載しており、大規模なAIモデルを分割せずに載せやすい構成になっています。これにより、数百億〜数千億パラメータ級のモデルでもデータ転送を減らせるため、処理の遅延を抑えつつ高速に動かせます。
さらにGPU同士は高速NVLinkで接続されているため、この巨大なメモリを1つの大きな領域のように扱えます。その結果、モデル並列などを多用する生成AIでも性能が伸びやすく、スケールしても速度が落ちにくい構成になっています。
NVIDIA DGX B300と前世代のスペック比較
ここからはDGX B300と前世代のスペックを比較します。
以下はその表です。
項目 | NVIDIA DGX B300 | NVIDIA DGX B200 | NVIDIA DGX H200 |
|---|---|---|---|
GPU | 8 × NVIDIA Blackwell Ultra GPU | 8 × NVIDIA Blackwell GPU | 8 × NVIDIA H200 Tensor Core GPU |
合計GPUメモリ | 2.3 TB | 1.5 TB | 1.1 TB |
GPUメモリ帯域幅 | 64 TB/s | 64 TB/s | 38.4 TB/s |
パフォーマンス (FP4) | 144 PFLOPS | 144 PFLOPS | N/A |
パフォーマンス (FP8) | 72 PFLOPS | 72 PFLOPS | 32 PFLOPS |
パフォーマンス (FP16/BF16) | 36 PFLOPS | 36 PFLOPS | 16 PFLOPS |
パフォーマンス (FP32) | 18 PFLOPS | 18 PFLOPS | 0.48 PFLOPS |
パフォーマンス (FP64) | 40 TFLOPS | 40 TFLOPS | 0.24 PFLOPS |
CPU | Intel Xeon 6776P | 2 × Intel Xeon Platinum 8570 | 2 × Intel Xeon Platinum 8480C |
システムメモリ | 2 TB(最大4TB拡張可) | 4 TB | 2 TB |
NVLink | 第5世代 NVLink(14.4 TB/s) | 第5世代 NVLink(14.4 TB/s) | 第4世代 NVLink(7.2 TB/s) |
ネットワーク | ・8×OSFP(最大800Gb/s)・2×デュアルポートQSFP112 BlueField-3(最大400Gb/s) | ・8×OSFP(最大800Gb/s)・2×デュアルポートQSFP112 BlueField-3(最大400Gb/s) | ・8×OSFP(最大400Gb/s)・2×デュアルポートQSFP112 BlueField-3(最大400Gb/s) |
消費電力 | 約14 kW | 最大14.3 kW | 最大10.2 kW |
出典:NVIDIA
NVIDIA DGXシリーズは、AI研究開発の最前線で使われているシステムです。
Blackwellアーキテクチャを搭載したDGX B300とB200は、特にAIの推論で重要となる低精度の浮動小数点演算(FP4やFP8)において、前世代のH200を大幅に上回る性能を持っています。 また、GPU間の通信を担うNVLinkの帯域幅も2倍になっており、より大規模なモデルを効率的に学習させることが可能に。
DGX B300は、B200と同じBlackwellアーキテクチャを採用しつつも、より高性能な「Blackwell Ultra GPU」を搭載することで、さらに高いパフォーマンスを実現しています。
NVIDIA DGX B300の導入がおすすめな企業

NVIDIA DGX B300は、最先端のAI開発と運用を目指すすべての企業にとって強力なツールですが、特にその恩恵を最大限に受けられるのは、特定のニーズを持つ企業です。
ここでは、どのような企業がDGX B300の導入によって大きな優位性を獲得できるかを3つのポイントから解説します。
- 大規模な生成AI・LLMを自社で学習/運用したい企業
- AI開発スピードが競争力に直結する企業
- 将来的にAIクラスタを大規模化したい企業
オススメ企業 | 01 |
大規模な生成AI・LLMを自社で学習/運用したい企業
DGX B300は、合計2TB超のGPUメモリと高速NVLink接続により、数百億〜数千億パラメータ規模の大規模言語モデルを1ノードで扱いやすい構成になっています。そのため、モデルを細かく分割したり外部ストレージに頻繁にデータを逃がしたりする必要が減り、学習速度と推論性能の両方を高い水準で維持できます。
特に自社専用モデルの開発を進める企業や、RAG構成・マルチモーダルAI・エージェント型AIなどを本番運用したい企業にとっては、クラウドGPUの割当制限やデータ持ち出しリスクを避けながら、安定したAI基盤を確保できる点がメリットです。
AIを実験段階ではなく事業インフラとして扱う企業ほど、DGX B300の価値が発揮されやすいでしょう。
オススメ企業 | 02 |
AI開発スピードが競争力に直結する企業
DGX B300は、FP8学習性能約72PFLOPS、FP4推論性能約144PFLOPSという高い処理能力を持ち、従来より短時間でモデル学習や検証を回せる設計です。
AI開発では、モデル改善の試行回数がそのまま精度と成果に直結するため、学習時間が短縮されるほどプロジェクト全体のスピードが上がります。また、学習用と推論用を別環境で運用する必要がなく、同一基盤でMLOpsから本番運用まで回せるため、環境移行による手戻りや検証遅延も減らせます。
金融、製薬、製造、AI SaaSなど、アルゴリズム改善の速さが売上や市場シェアに直結する企業ほど、DGX B300の導入効果は大きくなります。
オススメ企業 | 03 |
将来的にAIクラスタを大規模化したい企業
DGX B300は単体性能が高いだけでなく、クラスタ拡張を前提に設計されています。最大800Gbps級ネットワーク接続やMGXラック対応フォームファクターにより、導入後にノードを追加していくスケールアウトがしやすく、大規模AI基盤への成長を見据えた投資が可能です。
また、NVIDIAのソフトウェアスタックによって複数ノードの運用やリソース配分を一元管理できるため、最初は小規模に始めて段階的にAIインフラを拡張していく企業にも適しています。
現在はPoC段階でも、将来的にAIを中核事業として拡張する計画がある企業にとって、DGX B300は長期的な基盤として選びやすい選択肢と言えるでしょう。
NVIDIA DGX B300についてのまとめ
NVIDIA DGX B300は、単なる高性能GPUサーバーではなく、AIの学習から推論、運用までを一体化したAIファクトリー基盤として設計された統合プラットフォームです。Blackwell Ultra GPUによる高い演算性能と2TB超の大容量メモリ、高速NVLink接続により、従来は複数ノードに分散する必要があった大規模モデルも効率よく扱えるようになりました。
また、開発から本番運用まで同一環境で回せる点や、将来的なクラスタ拡張を前提とした設計は、AIを事業の中核に据える企業にとって価値になります。AI活用が競争優位を左右する時代において、DGX B300は単なる設備投資ではなく、AI戦略を加速させる基盤として検討すべき選択肢と言えるでしょう。
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